『地球進化46億年 地学、古生学、恐竜でたどる』
高橋 典嗣/著
ワニブックス/刊
本体1,000円(税別)
地球や宇宙、生命を理解するための羅針盤
コロナ禍の世界中の地球人にとって、昨年末のはやぶさ2によるリュウグウの岩石サンプル持ち帰りの快挙は、久しぶりに明るいニュースとなった。
地球科学は、生物学、物理学、化学、数学、古生物学、地質学等を駆使して、地球や宇宙の謎について解き明かす応用科学分野である。この本では、地球や宇宙のことがどこまで明らかになり、どこからは謎のままなのかについて、分かりやすい説明と効果的な写真やイラストで道案内してくれる。
はやぶさ2がリュウグウから持ち帰った岩石サンプルを分析することで、太陽系が形成された当時の水や有機物が見つかる可能性があると言う。その結果、地球の水の起源についての謎が解き明かされるかもしれない。さらに地球外生命体についても論じることができるようになるかもしれない。なんて夢のある話だろう。
地球で誕生・進化し、ある時代を席巻した生物、多くの絶滅した生物の話も、なぜそうなったのかが具体的でわかりやすい。地球磁場が地球上での生命体を守る役割をした話も面白い。 地磁気逆転の証となった千葉セクション(通称チバニアン)は脚光を浴び、2020年には国際地質科学連合によって承認され、日本の地名が地質年代表に初めて登場することになった。
「チバニアン」を含む身近なジオ体験スポット紹介も興味深い。「秩父盆地」、「城ヶ島」、「糸魚川」を訪ねて、地球の成り立ちに思いを巡らす散策をしてみたくなる。 この本は地球や宇宙や生命を理解するための羅針盤と言える。
(評・横浜緑ヶ丘高等学校教諭 伊福 龍哉)
(月刊MORGENarchive2021)